合田道人

童謡謎解きマップ

合田道人が多くの童謡の謎を解きます

赤い靴

作詞:野口雨情 作曲:本居長世(大正10年発表)

横浜・山下公園

 野口雨情が札幌に住んでいた時代に、新聞社の同僚だった鈴木志郎の奥さん、かよから直接聞いた彼女の身の上を詩に託した歌です。つまりこの、♪赤い靴はいてた女の子……は、実在していたということになるのです。

 その女の子の名前は、きみと言いました。生まれは現在の静岡県清水市です。父親は分からない。人目を避けるように、母は幼い娘を連れて北海道函館に移り住みます。そこで出会ったのが鈴木だったのです。ところが鈴木は、未開地開拓のために虻田郡真狩村に入植することになります。かよは、幼いきみを連れて未開の地に入ることに抵抗を感じました。雪深い北の大地、食糧も住む場所も、もちろん電気も医者もいない、そんな所に娘は連れて行けない。

 そんなとき、ひとつの偶然が起きました。アメリカの宣教師夫妻が養女を捜していたのです。かよは夫妻に娘を託しました。♪異人さんに連れられて いっちゃった……のです。♪今では青い目になっちゃって 異人さんのお国にいるんだろう……。母は娘の幸せを祈って、この話を雨情にしました。雨情はその後、童謡運動に参加しそのテーマを歌にしたのです。

 しかし、この歌には後日談がつくのです。この「赤い靴」が発表されてから50年以上も経って、女の子は♪横浜のはとばから船に乗って……異人さんのお国に渡っていなかったことが判明したのです。なんときみは、宣教師とアメリカに行く前に東京で亡くなっていたというのです。

 そこらの詳しくは本、そして私が童謡の謎をナレーションしながら歌ったCD「童謡の秘密」を是非聞いてください。あまりにも悲しくはかない赤い靴の女の子の実話に胸がしめつけられます。

この謎解きが入っている本とCD

単行本「案外知らずに歌ってた 童謡の謎」(1,500円+税)
文庫本「案外知らずに歌ってた 童謡の謎」(税込600円)
CD「童謡の秘密」(18曲入)(2,100円)