合田道人

童謡謎解きマップ

合田道人が多くの童謡の謎を解きます

七つの子

作詞:野口雨情 作曲:本居長世(大正10年発表)

和歌山熊野枯木灘県立自然公園内「日本・童謡の園」 この本を書いたきっかけといえば、「春の小川」の歌であり、この「七つの子」でした。今年6年生になった長女が、ちいさいとき「パパ、♪かーらす なぜ鳴くの からすは山に……の「七つの子」って、からすが七羽いるの? それとも七羽なの? という質問から始まったのです。質問された父親=わたしは瞬間言葉につまりました。ほんとだ! でもどうして今までそれに気づかず、歌っていたのかな? このほうが謎でしたねえ。でもよく考えてみると、「七羽のからす」が巣にいる歌なんだろうと勝手にはんだんしていたんですわ。でも子供に教えるとなると、「〜だろう」ではすまなくなるし……。そのころちょうど新聞の「スポーツニッポン」でも「常識の不思議」というコーナーを担当していて、そこでもこの話題は出ていたんですね。

 父親としては面目を保つために、早速調べましたよ。でもどこで聞けばいいんだ? 分からない。とりあえず上野動物園に電話を入れたら、「うちでは、からすは飼っていませんから……」との答え。そりゃそうだ。でも父は強し。

 恥ずかしいなんてこと通り過ぎて「どこなら教えてくれますかねえ」といったら、「山階じゃないですか?」。ということで、千葉県は山階の鳥類研究所に電話を入れることになったのです。するとからすは一度に七つ卵を産まないことが判明、それどころかからすは七歳まで生きないんですって! では「七つの子」とは一体? これは「案外知らずに歌ってた 童謡の謎」の1にしっかりと書いてありますが、この七歳は人間の女の子をたとえていたんです。日本には“七五三”という風習がありますよね。

 昔は今みたいに医療は発達していませんから、抵抗力のない子供はよく死んだんです。七歳までは神様の子どもなんていう考え方もあったようです。だからやっと三歳になった、五歳までありがとうございます。やっと七つ、これで学校に行き出すのも七つです。抵抗力もついてまあ、これから何か間違いがなければ生きてゆける。そのころ一番、身近だったからすにたとえて、からす、つまり鳥ですから大きく空高く翔たいてほしいという親の願いが込められていた歌こそが、「七つの子」だったんですね。

 こういうふうによくよく解明してゆくと、童謡にはほんとに深い意味が込められているんです。

この謎解きが入っている本とCD

四六版「案外知らずに歌ってた 童謡の謎」(1,500円+税)
文庫本「案外知らずに歌ってた 童謡の謎」(税込600円)
CD「童謡の秘密」(19曲入)(税込2,100円)