合田道人

連載記事

雑誌の連載記事のご紹介

「千恵っ子よされ」(2004年4月第21号より)

 先月号で私が構成、企画する「再現!想い出の紅白歌合戦」の話をした。5月26日に私のふるさと、北海道の厚生年金会館で行う。「紅白」出場経験者だけを集め、当時の「紅白」をふり返るのだ。

 昭和最後の「紅白」に民謡歌手の代表として出場したのが岸千恵子である。

 岸は7歳で民謡一座に参加、"津軽の天才少女"とよばれ、昭和35(1960)年には、18歳で新進のレコード会社、東芝の女性民謡歌手第一号歌手として「花笠おどり」でデビューした。しかし、3年で結婚して引退。

 その岸に新たなチャンスが訪れた。昭和50年代はじめ、民謡ブームが訪れたのである。ジーパンをはいて民謡を歌う金沢明子が人気を上げ、"民謡界の百恵ちゃん"と称された。当時、山口百恵は芸能界のトップスターだった。そのためにほかの民謡歌手たちにもスポットが当たり、岸千恵子にもカムバックの声がかかったのだ。体を左右にゆさぶりながら踊って歌う"千恵っ子スタイル"は大受け。おまけにオリジナル歌謡曲、「千恵っ子よされ」は、カラオケの定番曲にまでなるほどの大ヒット。そのうち独特の東北弁とその明るいキャラクターが買われ、「笑っていいとも」などの人気番組のレギュラーをきっかけに「紅白」歌手にまで名乗りをあげることに。

 当然、「千恵っ子よされ」で「紅白」も登場と思われたが、実はこの歌はNHK放送禁止曲だったため歌えなかったのだ。

 ♪千恵っ子……と自分の名前が入り宣伝になるというのが理由だった。「ひばりの佐渡情話」「はるみの三度笠」などは題名だけで歌詩に名前は入っていないが、この歌には入っている。そこがひっかかったのだ。やっと昨年の「ふたりのビッグショー」で解禁されNHKで初お披露目となった。